今回はKPIの中でも基礎中の基礎と言えるDAUの見方について紹介していきます。
DAUを普段見ている方々でも自社のDAUがなぜそういう算出方法になっているかなどを気にしたことはありますか?
こういった名称がしっかりしている物は意外と集計方法や範囲、ルールなどがバラバラになっていることが多く、みんな同じ単語で説明してるけど人によって言ってる値が違っていたという事があります。
(ちなみに過去の経験として、社内で報告しているDAUの算出方法がゲームごとに違ったという恐ろしいこともありました。恐ろしいですね。)
特にDAUはKPIの中でもひと際重要視されているため、集計方法も色々と研究されていたりして、計算式がまちまちで注意が必要な値だったりします。
おさらい!DAUとは?
第1回目の「【KPI】ソシャゲ運営の基本!KPIとは」でも紹介した内容の繰り返しにはなってしまいますが、DAUは「Daily Active Users」の頭文字です。
これは、アクティブなユーザー(AU:Active Users)を1日(Daily)という期間で集計しているため、DAUと呼びます。
集計期間が1週間(Weekly)になったらWAU、1か月(Monthly)だったらMAUという具合です。
※単にAU(アクティブユーザー)と省略されている場合もあります。
また、今回は主にDAUを使って、アクティブユーザとは何かについて紹介していきますが、もちろん考え方自体はWAUやMAUなどにも通じるものとなります。
DAUの特徴
DAUはあくまでもそのタイミングでアクティブな行動(大抵はログイン)を取ったユーザーという住み分けのため、非常に曖昧かつ不安定な数字といえます。
これは付近にテーマパークを備えた駅(例えば舞浜駅とか)の利用者数で例えてみると、非常に分かりやすいです。
1.月曜日~金曜日と比較して、土日は非常に混雑する(曜日的要因)
2.テーマパークでイベントがあると混雑する(周囲の状況による要因)
3.雨が降ると通常時よりも人が減る(外的要因)
のような感じです。こうしてみるとずいぶんと雑音の多い数字だという事が分かるかと思います。これがDAUという物の正体です。
DAUを見てみる
DAUを見る際には色々な要因の変化を理解する必要があり、場合によってはそれらの値をノイズとして除去し、調整する必要も出てきます。
ノイズとなる要因は大まかに以下の4つのようなものが挙げられます。
- 時期的要因:土日、祝日、夏休み、正月といった人が必然的に人が多くなりやすい時。
- 広告要因:いわゆる広告。ブレ幅が大きい。
- 内的要因:ログインキャンペーンなど。非常に一過性が高い。
- 外的要因:新作が出た、サービスが終了した、実況者が放送したなどの意図しない外からのもの
本当の基礎体力といえるDAUを見るためにはこれらの変動を極力減らすことが大事になります。
平均でノイズを減らしてみる
それでは早速ノイズを減らす作業をしてみましょう。
まずは、簡単で手っ取り早い移動平均を使用する方法です。
上のグラフはイメージで、青のラインは1000をベースにランダムで最大5%、金土日に最大+20%の係数をかけたそれっぽいDAUの数字です。
オレンジのラインはそれの移動平均を取ったものとなります。
いかがでしょうか?
これは結構見やすくなったのではないでしょうか?
これでやったー!と思うのはまだまだ早いです。
次は広告出稿をして人を増やした場合の表を見てみましょう。
例えばこんな感じです。(分かりやすいように数字を極端にしています。)
これはとある月曜日に大量に人が流入してきた場合のイメージですが、見てのとおり移動平均の欠点である、値が遅れて反映されるという点が足を引っ張った形の表にとなっています。
これではDAUで効果測定をするのは難しいですよね。
特定の条件を満たしたユーザのみを計測
そこで、ノイズを減らそうとした一部の会社で使われている、正確なDAUを測るのではなく、継続してプレイする見込みのあるユーザーを正確に測る方法を紹介します。
方法としては下記のようなものがあります。
- インストール後XX日以上継続したユーザーをDAUにカウントする
- 連続でXX日以上ログインしたユーザーDAUにカウントする
- 一定期間内にXX日以上ログインしたユーザーをDAUにカウントする
概ね上記の3点ぐらいです。
それではそれぞれの特徴を考察していきたいと思います。
【1.インストール後XX日以上継続したユーザーをDAUにカウント】
この場合、広告等で流入したユーザーのうち、すぐに抜けてしまうユーザを排除することが出来るので、大きな変動が少なくなるのが特徴です。
そのため、効果的な広告を実施することができたのかを測るのに有効です。
一方で、見込みのユーザーがDAUとしてカウントされるためには一定期間以上経過する必要があるため、やや効果測定が遅くなるというデメリットがあります。
また、休眠状態のユーザーが大量に復活した場合にもブレが発生するため、この方法で集計を行っている場合はそういった動きがあることを注意する必要があります。
【2.連続でXX日以上ログインしたユーザーDAUにカウントする】
ゲームの売上は毎日ログインするような熱のあるユーザーが大半を占めているという傾向があるため、使える方法です。
この場合、広告のような一瞬だけ伸びる数字を除外するのに非常に有効です。
そして、これは正確なDAU数から考えると結構な数が除外されることとなります。
しかし、KPIは前提としてKGI(売上)を評価するための指標であると考えるのであればある意味間違いではないやり方ともいえます。
しかし、1点だけ問題点があり、メンテナンスが長時間になった場合や極端にひどい通信障害が起こった場合など、やる気はあってもログインができなかったユーザーなどを取り除いてしまいます。そして1日それでログインできなかっただけで、X日間カウントされなくなってしまうため、そういったブレに注意が必要です。
【3.一定期間内にXX日以上ログインしたユーザーをDAUにカウントする】
この方法は2でブレる要因となった原因を解決したものになります。
先ほどのものに比べてやや条件が緩くなった分、売上に貢献していない可能性が高いユーザーもカウントされるようにはなってしまいますが、その辺りはどちらをより重視するかによるかと思います。
デメリットらしいデメリットはあまり感じられませんが、2同様にたまたまカウントの対象から外れた場合、戻るまで時間がかかるという点は変わりませんので注意が必要です。
まとめ
DAUの集計方法1つとっても色々と種類があるのがお分かりいただけたでしょうか?
また、普段使われているDAUという言葉は、集計の仕方によってどういった値を指しているかや、どういった役割を求められているかが変わることも理解できたでしょうか?
これを踏まえて、自社のDAUに対して見直してみると今までと違った見え方が出来るかもしれませんので、ぜひ見直してみてください。
本当は実践的なDAUのお話もするつもりだったのですが、少し文字数が多くなってしまったので、分割してお話したいと思います。
次回は、プランナーよりのDAUについて話していきたいと思いますので、お待ちくださいませ。
※記事追加しました!
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