DAUに関するお話の第2弾ということで、よりプランナー目線でDAUを見る方法をお話していきたいと思います。
今回もまたDAUを元に書いてありますが、WAUやMAUも同じような概念で使える考え方になります。
なお、前回までの内容を前提に書いていきますので、意味の分からない言葉や馴染みの無い単語などが出てきたら前回までの記事をご覧ください!
DAUってどんな値?
プランナー目線にで見る前にまずはDAUがどういう値なのかを改めて見てみたいと思います。
少し話しが戻りますが、DAUとは、その日にアクティブなユーザー全体を差していますが、これには様々な属性を持った人を一括りとしてまとめた値だという話をしたかと思います。
※前回紹介した特殊な条件を使用する場合は、その日のアクティブなユーザー全体ではありませんが、少なくとも当日にアクティブである必要があります。
このため、この値自体には人がどの程度いるか以上の情報は含まれていません。
つまり、DAUの増減それ自体はゴールであるKGI(大抵は売上/Salse)になんら左右する数字ではないのです。
そのため、DAUを見るときはそれ単体の良し悪しではなく、中に含まれる構成比を考えてみるようにする必要があります。
DAUを見るときの視点
先ほど、DAUでは構成比を考えるという話を出しました。
どういう事かというと、DAUはその数字の中に色々なセグメント(客層)が含まれており、そのセグメントを色々な切り口で分ける事で初めて状態の把握や分析が出来るようになるという事です。
セグメントというのは例えば以下のようなものです。
- 新規なのか既存なのか
- たまたま今日ログインしたのか、毎日ログインしているのか
- 課金をしたことがあるのか、無いのか
- 課金している人はどの位の額を課金しているのか
何となくイメージつきましたでしょうか?
例えば、新規ばっかりのゲームであれば、お金をかけて人を集めても抜けていってしまう可能性が高い(非効率)という事が分かり、同じDAUであっても課金ユーザーと無課金ユーザーの比率を見れば、お金を払ってくれるユーザーが多いか少ないかが分かるわけです。
それでは、これらを踏まえて簡単にどういう考え方で実際に分析を行うかを見ていきましょう。
実際に見てみる
さて、実際にこれらの視点を意識してサンプルデータを使って分析の真似事をしてみましょう。
今回はサンプルとして下記のデータを用意しました。
これはサンプルデータなので都合のいいように作られているという点はご了承ください。
※縦軸:ユーザー数 横軸:日数
さて、このグラフは一般的なDAUを見る際に使用するデータで作られたグラフです。
データは「新規に登録したユーザー・前日以前に登録したユーザー・一定期間以上離れた後に戻ってきたユーザー」の3つです。
若干分かりずらくて申し訳ないのですが、このグラフを見る限り、
- DAUは増加傾向にある
- 新規ユーザーの登録が増えている
- 既存ユーザーはほぼ横ばい
という3点は見て取れるかと思います。
こう見ると、増えている新規に対して既存の伸びが悪いことから、新規の定着率が悪いのかな?くらいにしか見えないかと思います。
では、まずは「新規の定着率が悪いのではないか」という仮説で見てみましょう。
ちなみにこの「仮説を立てる」というのはデータを分析する上では非常に有効ですので、データを見て怪しい値を見つけたらまずは仮説を立ててみるようにしましょう。
定着率を見るために継続日数で分解してみる
それでは、仮説に基づいて定着率という観点から分解してみます。
新規の定着率を見るには継続率という指標を使う方法もありますが、今回はテーマがDAUなので、DAUを使ってみる方法で行いたいと思います。
新規の定着率が悪いのではないかという仮説でDAUを集計するのであれば、登録から何日経過したかという切り口がよさそうなので、「初日・翌日・1~3日後・4日~7日後・8日~30日後・それ以降」の6段階で分けてみたいと思います。
※縦軸:ユーザー数 横軸:日数
いかがでしょうか?
31日以上のユーザーがすごい勢いで離脱していますね。
どうやら、増えた新規が定着していないのではなく、増えた新規以上に長く遊んでいるユーザーが抜けていってしまっているようです。
そのため、当初の仮説である「新規ユーザーの定着率が悪い」はちょっと違うかもしれませんね。
むしろ長期にわたって遊んでいるはずのユーザーが抜けている事から、コアとなるエンドコンテンツに重大な欠陥がある可能性がありそうです。
長期で遊んでいるユーザーが抜けているという事は、「リソースを渇望している新規ユーザーではなく、リソースの使い道がない既存ユーザーが出てきているという可能性が高い」という事です。
では、実際にそうなのか課金の面から簡単に見てみたいと思います。
課金額で分解してみる
先ほどの定着率の分解から「リソースを渇望している新規ユーザーではなく、リソースの使い道がない既存ユーザーが出てきているという可能性が高い」という目算が立ちました。
リソースの使い道が少なくなる可能性が高いのは長く遊んでいるか、多く課金をしているかです。
この場合は1人1人のリソースが余っているかなので、平均ではなく1ユーザーごとにフォーカスした分解が必要になります。
例えば下記のような表です。
※縦軸:課金ユーザー数 横軸:日数
このような形で課金額毎にユーザー数を振り分けます。この場合の課金額は直近の30日間で使った合計額などの若干の期間を持たせて集計するのがいいでしょう。
すこし分かりにくいですが、徐々に高額課金者の割合が減ってきて、無課金の割合が増えてきています。
つまり、高額課金者が離脱したもしくは高額の課金が必要無くなったと判断した可能性が高いというわけです。
どうやら仮説通り、「リソースを持て余してしまっているユーザーが多い」というのは合っているかもしれません。
この事からこのゲームは、新規登録者を集めても、長期的に継続・課金を行ってもらうコンテンツが不足している可能性が高く、せっかくの課金ユーザーが離脱していってしまっている可能性がある状態と判断できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
DAUをみる方法のさわりの部分だけではありましたが、これを見てDAUって意外と奥がふかいなーとか、分析ってこうやるんだなどが分かってもらえれば幸いです。
今回はDAUの見方についての話であったため、サンプルの分析もDAU部分に関わるもののみで終了としました。
本来であればあそこから一歩踏み込んで、離脱したユーザーのプレイ状況や所持しているアイテム、キャラクターなどを見て実際にどういう企画にしていくかを練りこんでいく必要がありますので、ご注意ください。
今回はこれくらいにしますが、また今度さらに踏み込んだ内容なども紹介していきたいと思います。
次回何やるかをまだ決めていませんが、またKPI関連かゲームの雑記辺りをやってみたいと思いますので、ぜひお待ちくださいませ。
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